高橋:人に何かを捧げる時、贈る時にはリボンを添えるところから、「心にリボンを」という事で「リボン賞」というネーミングにしました。実は(表彰制度の中で)最初に導入したのがリボン賞で、6年ほど毎日続いている一番大切な賞です。
人を育てる大家族主義と表彰制度の真髄は!?
株式会社ベアーズ 高橋 ゆき 専務取締役
高橋:朝礼の時に、日頃の「ありがとう」の気持ちを発表しています。平均3~4人、多い日では10分くらい時間を費やすこともあります。「ありがとう」と言われた人が所属するチームには「ありがとう」のスタンプが貰えます。月間で一番多くの「ありがとう」をもらったチームが「リボン賞」を獲得できるというわけです。
実はこの賞、そして、「ありがとう」と言われる人は、その当月に社内で縁の下の力持ちのような役割になっている人が多いんです。とんでもなく忙しく、苦しかったはずの部門に所属している人の方が、仲間の困ってる姿や苦労している顔、そして助けてもらったときの笑顔に気付いてることが多いんですね。
また、リーダーの中には、「次のリボン賞は俺たちのチームがもらうから、とにかく社内のために役に立つ人間になれ!全部署からリボンを集めてこい」と言ってチーム員を育ててる人もいます。
ただ単純に自分の仕事をこなすだけではなく、人が困ってる時に助けるという、リボンが社風になってきています。みんなでおもいやり支えあう。心の美しい社員が多いと思います。またその気持ちがないとベアーズの仕事が務まらないという事も、みんな気づき始めているんだと思います。
ベアーズは人間力を磨きにくるような学校の様なもので、社員の自慢は心の美しい人たちが沢山いるっていう事ですね。
高橋:私は大家族主義を掲げてますので、社員とは人生の物差しでお付き合いしようと決めたんですね。家族というのはお互いの夢を応援しないとダメだと思います。また失敗しようがそれを見守るのが家族だと思います。
従来のキャリア制度を廃止したのが2年前。その代わりに、5年間のライフプランを全員に描いてもらうようにしました。結婚の事や転居の事などプライベートな事などです。それに対して上司が真剣に向き合うんです。
最初は部下が上司に描くだけでしたが、たまたま出会った順番が年齢の上下関係だっただけで同じ時代に生まれた大家族であれば、上司の夢だって知るべきだと思ったので、上司も部下に夢を語ろう!と。上司、部下のあいだで夢の片棒を担ぎ合うような人事考課と人事指導にしたらどうかと思って取り組んでいます。
高橋: 実はこんなことを話してますけど、6年前までは1から10、いやいや100まで社員の行動を知っておかないと嫌なタイプでした(笑)。ただ、ある時からその方法だと会社は育つかもしれないけど、人の心は育たない事に気づいたんです。
私は、チームベアーズの母だと思っています。
子育てという概念で考えると、子供を育てるにはお金もかかるし、時間も労力もかかります。また大変だ!大変だ!と口では言っていてもある時気づくんですね。大変なのが1だとすると、幸せはその100倍もあるんだと。それはスタッフに対しても一緒だと思うんです。
「冷暖自治」という言葉がありますが、私は本人たちに失敗させて、反省し、学んでいってもらいたいなと思っています。その方が楽しいし、何よりも(自分に)自信がつくものですから。
私は起業家であり、経営者でありつつも、とんでもない理想家です。理想を語れない人に現実は創れないと思うので、私は理想家であり続けたいと思っています。
下の子たちには常に自由な発想をもった天真爛漫なチャレンジャーであって欲しい。
そのためには、イエスマンを育てない、ノーと言わない上司を育てるというのが私の役目だと思ってます。私がイエスマンな部下を作って、専務としてノーと言っていたらつまんない会社になっていきますから。
上の立場の人間は、偉いのではなくて研ぎ澄まされた心で、本質を見抜いた上で指導や見守る姿勢を持ってやってもらいたいんです。それには自分がロールモデルにならないとダメなので、やって見せて、やらせてみせて、凡事徹底。私の生きざまを見せる事が私の役目で、そのためには失敗事も全部つつみ隠さず見せ続けていますよ(笑)!
Company

「女性の”愛する心”を応援します」を基本コンセプトに1999年設立。お掃除やお料理、洗濯やアイロンがけ、お子様お世話など各ご家庭のライフスタイルに合わせた家事代行サービスを提供。雇用の面でも”おふくろの気配り”をテーマに60歳以上のスタッフの雇用に積極的。また、ワークライフバランスにおける新しいカタチの福利厚生として企業からも多くの注目を集め、法人会員は450社。ベアーズは、家事代行サービス産業の確立を目指し、社会に、ご家庭に、ひとつでも多くの笑顔の創出に貢献している。
People
株式会社ベアーズ 専務取締役。株式会社ベアーズ専務取締役としてマーケティング、広報戦略、人財育成を担当。また、各種ビジネスコンテストの審査員や日本能率協会「経営・マーケティング戦略コース」のコメンテーター、その他講演会、新聞、テレビ、雜誌などで幅広く活躍。
座右の銘は「人生まるごと愛してる」。日本の暮らし方研究家であり、家事研究家でもある。